2024年度インフルエンザワクチン(経鼻ワクチン)のお知らせ・その1

今シーズンから鼻に噴霧するタイプの新しい経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻液)が使用できるようになりました。

 

従来の注射インフルエンザワクチンとは異なるいくつかの特徴があります。

●鼻腔内に噴霧するので痛みがほとんどない。

●接種年齢が12歳以下であっても接種回数が1回でよい。

●インフルエンザの感染経路である鼻咽頭の粘膜表面に免疫を誘導させるため、高い発症予防効果が期待できる。

実際に流行するウイルス株が予想と外れた場合でも、生ワクチンなので効果が期待できる。

●ワクチンの効果が1年ほど持続する。

 

副作用に関してはこのように報告されています。

●ワクチン接種後にくしゃみが出たり、喉に垂れたりすることがある(飲み込んでも特に問題ありません)。

●30~40%の人で接種後3日~7日までに鼻汁・鼻閉・咽頭痛・咳などの感冒症状、数%の人で発熱することがある。

●まれではあるが発疹、じんましんの他にアナフィラキシーショックやギランバレー症候群のような重い副反応を起こ

 す可能性は、他のワクチンと同様に否定はできない。

 

日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会が示した「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方」の中で、委員会は「不活化インフルエンザHAワクチン(従来の注射ワクチン)と経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻液)との間にインフルエンザ罹患予防効果に対する明確な優位性は確認されていない」と明記した上で、以下のように推奨をまとめています。

接種適応年齢である2歳~19歳未満対して、不活化インフルエンザHAワクチン(従来の注射ワクチン)と経鼻弱毒生

 インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻液)を同等に推奨する。

●喘息患者には不活化インフルエンザHAワクチンの使用を推奨する。

●経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは飛沫または接触によりワクチンウイルスの水平伝搬の可能性があるため、授

 婦、周囲に免疫不全患者がいる場合には不活化インフルエンザHAワクチンの使用を推奨する。

●そのほか、以下の場合には不活化インフルエンザHAワクチンのみを推奨する。

 ・生後6ヶ月~2歳未満

 ・19歳以上

 ・免疫不全患者

 ・無脾症患者

 ・妊婦

 ・ミトコンドリア脳筋症患者

 ・ゼラチンアレルギーを有する患者

 ・中枢神経系の解剖学的バリアー破綻がある患者